既存オーナー向け

災害対策と支援の受給

管理人の私は2019年10月13日(令和元年)台風19号により店舗内浸水被害に遭い2か月間の休業を余儀なくされました。

台風の場合は、おおよそ1週間前から台風が来ると予測出来たのに対し、豪雨は1日ないし2日前、地震に至っては直前でもわかりません。

さらに河川の氾濫や堤防の決壊が夜中に発生し、日中に発生した場合と比べて機動力が鈍ります。

ボランティアとして手伝いに行きたいのはやまやまですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今の所県内のボランティアしか募集していません。個人的には水害に遭った場合コロナどころではありませんがそれは現場の人間にしかわかりませんし、その価値観は共有できません。

今回は事業主として水害に遭った場合、被害を最小限に食い止めるにはどのような備えが必要なのか、経験をふまえていくつか挙げてみます。

災害に対する事前準備編

出来れば被災者になりたくないのは皆一緒です。しかし自分が、そして周りの近しい人がいつ被災者になっても慌てず対処出来るようにするには事前準備が欠かせません。

水害ハザードマップを確認しておく

水害ハザードマップを皆さまはご存知でしょうか。

下記は一例で、荒川付近のハザードマップです。

水害ハザードマップとは簡単に言うと河川が増水し氾濫、及び堤防が決壊した場合にどのくらいの高さまで浸水が想定されるか、という地域を色別に地図にしたものです。

普段住んでいて、自分の土地が他と比べて低いか高いかなどあまり意識する事はないと思います。(当然住む時点で確認をされる方もいます)

令和元年台風19号ではこのハザードマップの想定浸水範囲がほぼ合っていたと言われています。

なので、ご自身の場所のハザードマップをまずは確認し、危険度がどのくらいなのかを確認しておくべきです。

住んでいる場所のハザードマップや災害リスク情報を地図に重ねて表示できるサイトです

https://disaportal.gsi.go.jp/

ハザードマップポータルサイトより

水害に対する保険加入の有無を確認する

家の保険や店舗の保険のほとんどが火災保険を基本としています。そしてその火災保険には地震保険もセットとなっている事が多くあります。

ただ、水災に関する補償はオプション、つまり任意選択となっている事がほとんどです。

飲食店においては厨房機器類の補償も水災はオプションです。

事実私の知っている範囲内で台風19号に被災された方の中で水災オプションを付けていた方は1件しか知りません。

なので、これは今すぐにでも保険証券を見直して水災補償が付いていなければ加入する事をオススメします。

※水災に関する保険についてのまとめページ

https://hoken.kakaku.com/insurance/kasai/select/water/

価格.comより

水害(特に台風)での事前準備と便利グッズ

災害で唯一事前に情報が確認できるのが台風です。台風は発生時より上陸の可能性まで把握出来るので事前準備がある程度可能となります。今回は水害に当てはまる事が多い項目となりますが、それ以外でも充分役に立つと思います。また、避難所へ行く事も想定して記載しています。

【物の移動】

出来る限り物は上にあげておきます。ここまではこないだろう、と思っている高さの倍くらいまでは最低でも想定しておいた方が良いです。私も一部ですが出来るだけ上にあげておき、助かった物も多数ありました。

【車の移動】

ほとんどの車は車体の半分くらいまで浸かってしまうと廃車となります。今の時代、家庭で2台持ちの方も増えていると思いますが全て移動するのが正解です。1台で家族全員一緒に行動したい、という場合は水が来ないであろう高さの場所に駐車しておくか2台で移動しましょう。最近は、ショッピングモールの立体駐車場を開放している所もありますので、事前情報はしっかりとチェックです。

【NHKのニュース・防災アプリをインストールしておく】

特にNHKの、とは決まっているわけではありませんが私はこれでリアルタイムの降雨量、数時間後の降雨量と止む時間、河川のライブ中継などをこのアプリで随時チェックしていました。見やすくておすすめです。

【スマホ・イヤホン・モバイルバッテリー】

必須です。今はほとんどの方が持っていると思いますので説明不要かと思います。注意点はモバイルバッテリーの充電を満タンにしておく事です。

【現金】

これも必須です。すぐに収まれば良いですが、仮にそのまま避難所生活に突入した場合、現金はたくさん持っていて困る事はありません。ただし、避難所生活は場所が離れているとはいえひとつの建物(例えば小学校の体育館)なので、盗難には充分気を付けましょう。

【食料・水分】

避難所では水が支給される事もありますが食料はない場合が多いです。食料は調理を必要としない物が良いです。具体的にはパン、カロリーメイト、スナック菓子、チョコレート、ようかんなどです。

【ウエットティッシュやボディウォッシュタオルなど】

いわゆる衛生グッズです。コロナ禍で常備している方も多いと思いますが、不安の中の避難所生活で例えば顔を拭くシートで拭くだけでもなんだか気分がすっきりします。アルコールタオルだけでなく、顔や体を拭くシートも用意しておくと良いです。

【本や携帯ゲームなど】

避難所では時間が経過するのがとても遅く感じます。呑気にゲームなんてしてる場合じゃないと思うかもしれませんが、自然災害の前では無力です。ずっとやるのもどうかと思いますが、気晴らし程度にゲームや本を読むのは良いと思います。

災害後に行うべき処理編

災害に見舞われたら、まずはその事実を受け止めなくてはいけません。つらいです。とてもつらいですが、どん底の状態から立ち直るには前を向き、行動するしかありません。さらに現実を言うと、国や県、そして各市町村からの補償はたくさんあっても向こうが自動で手続きをしてくれるわけではありません。

お気づきの方もいると思いますが、逆に言えば「自分から手続きをしなければ何の補償も受けられません。その内容をしっかり把握しておきましょう。

自分の住んでいる所が災害救助法の適用地域かどうかを確認しておく

災害が発生すると「災害救助法」を適用するかどうかの発表が政府からあります。この災害救助法が適用になると以下の支援を受ける事が出来ます。

【個人の支援】

  1. 避難所の設置
  2. 応急仮設住宅の供与
  3. 炊き出しその他による食品の給与
  4. 飲料水の供給
  5. 被覆、寝具その他生活必需品の給与・貸与
  6. 医療・助産
  7. 被災者の救出
  8. 住宅の応急修理
  9. 学用品の給与
  10. 埋葬
  11. 死体の捜索・処理
  12. 障害物の撤去

これらの支援が国と県や市町村からの費用負担で賄われ、被災者は金銭的負担無しで支援を受ける事が出来ます。

…とは言ってもなかなか具体的な事が書いていなくピンと来ないかと思いますので下記に「実際私が受けた支援」を挙げておきます。

実際に受けた(受けた話を聞いた)支援
  1. 避難所情報をスマホで確認。実際に小学校の体育館へ出向き、一晩避難。その際毛布・マットレス・水を支給された
  2. 自分の家は大丈夫だったが、とある家では床材の張り替え等で家に住む事が困難だったので家賃支援を市から受けて部屋を借りそこで数か月住んだ
  3. 各地で炊き出しが行われてた(有志が自主的に、という所が多い)更に市民文化センターなどの公共施設で非常食やカップラーメンなどの食品を配っていた。炊き出しは参加せず、食品のみ受け取りに行った
  4. ③と同様、公共施設にて受け取った
  5. ④と同様、公共施設で受け取った。中には毛布やマットレスを貸し出してくれる所もあり、希望者は貸与出来る
  6. 約1年間、保険適用の治療や処方薬の費用が一切かからなかった(国保及び社保への手続きが必要)
  7. 私の地域は救助が必要な場面がなかった(よくニュースで観るような救助活動の事です)
  8. 被害の程度(全壊・半壊など)によって、住宅を修理する際の費用を市が負担してくれた。ただしこれには上限金額と修理項目が設定されているので注意が必要
  9. 被災で紛失した教科書などを提供された
  10. 該当なし
  11. 該当なし
  12. 障害物ではないが、浸水で使えなくなった椅子や家電製品等を家まで来て引き上げてくれた。その後、何度も不用品が出てきては引き上げてくれてこの部分は本当に助かった。

※明記されていないその他の支援

  • 見舞金・義援金の支給
  • 固定資産税の軽減
  • 市税等徴収の猶予
  • 水道代の軽減や携帯電話のギガ数の無償提供
  • 子育て支援センターや一部保育園の無料開放
  • 親族や知人からのお見舞い←これが嬉しい

もっとあった気がしますし、該当者によって多少支援の種類が違いますがとても手厚い支援を受ける事が出来ます。

続いて企業(お店)への支援です。

【企業(お店)への支援】

  1. 特別相談窓口の設置
  2. 災害復旧貸付の実施(日本政策金融公庫や商工中金)ページはこのHP内「政府や埼玉県のHP等」からいけます
  3. セーフティネット保証4号の適用
  4. 既往債務の返済条件緩和等の対応(いわゆるリスケ)
  5. 小規模事業共済災害時貸付の適用

事業者には個人と違い、基本的にお金を貰う事はほぼりありません。その代わり低金利で融資が受けられますので事業計画を練り直して必要とあらば躊躇なく融資を受けるべきです。なにより事業者は存続が第一ですから。

水害後の国や都道府県の補償を確実に受ける

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これは水害後となりますが、罹災証明書が発行される被害に遭った場合、国や各都道府県、市町村から補償が受けられます。

病院代が無料になったり、見舞金や義援金を恵贈してもらえたり、保険料の猶予など主に金銭面で色々な補償が受けられます。

ただし、これは全て自己申告制です(ほぼ全部と言っていいです)

逆に言えば自己申告しなければ何も受けられません。

なので過去の事例から、被災した場合どのような補償を受ける事が出来てそのためには何が必要なのかを事前に確認しておくと事業への負担も軽くなると思います。

まとめ

  1. 水害ハザードマップの確認
  2. 保険加入(水災)の有無
  3. 出来るだけ物は上に、または別の場所に移動
  4. 建物自体はあきらめる(移動できないので)
  5. その代わり補償は100%確実に受ける
  6. 事前事後の情報は素早く正確に