①の続きです⇒以前の記事を読みたい方はこちら
避難所に着いたのはほぼ暗くなった17時過ぎだったと思います。
小学校の体育館へ避難しました。
既に数家族いらっしゃってましたが、ここより近い小学校はものすごい混んでいると
事前情報を掴んでいたのでそれを想像するとかなり閑散としてました。
入ると必要事項を記入し、毛布やタオルケットを何枚でも自由に持って行って良いとの事。
運動会の場所取りじゃないですけど、そのイメージで壁側から数枚毛布を敷き場所を確保します。
とりあえずそこに座り、一休み。
一休みといっても、なんだかそわそわしています。
片手には常にiPhone。
数分毎にリアルタイムのニュースアプリや市のHP、その途中で緊急速報が流れ
ほとんど速報的なものを確認していたと思います。
その避難所でボランティアをされている方に簡単な状況と住んでいる場所を聞かれました。
「台風が過ぎるのが24時過ぎですよね?その後すぐに帰っても良いですか?」
と聞いたんです。
すると、えっ、帰るんですか?〇〇町の方ですよね???絶対やめた方がいいですよ。
と言われたんです。
いやいや帰れるでしょ、なにをそんな大げさな、とその時は思ったんですけどね。
(帰らなくて正解です。というか帰れませんでした)
避難所は一時的な場所と思っていたのですが仕方なく、泊まる、という選択をしました。
しかしほぼ準備はせずに軽く急ぎめで出てきたので
コンタクトレンズはつけっぱなし、食料もお菓子と軽い飲み物のみ。そして軽装。
こう文章に書きおろすと、本当に準備不足でしたね・・・。
iPhoneを見ながら子ども遊んだりしてても、やまない雨と風。
それどころか強さは増す一方でした。
特に私が住んでいる地区は、リアルタイム予報だと1時間に40mm程度のの大雨が
数時間続くので気が気じゃありませんでした。
そうこうしているうちにピークと言われていた21時過ぎ、消防署の方がヒアリングに来ました。
家の近くの〇〇川が心配なのですが・・・
と聞いた所、いや、その辺りは大丈夫ですよきっと。
それよりその上流や下流が危険とのこと。
そして、その他に流れる川も浅めなので危険とのこと。
(実際、私の家の一番近い堤防は大丈夫でした)
それを聞いて少しホッとしました。
きっと寝れないだろうと思っていましたが、何度か目が覚めるも数時間は寝る事が出来ました。
ただ、あの日の不安を抱えながら寝た夜は一生忘れないと思います。
今思い出しただけでも、少しトラウマです。
子どもも空気を察してかなかなか寝れませんでしたが、両親が寝たふりも含めて横になると
なんとか寝てくれました。
【家の手前20mくらいからの異様な光景】
疲れもあったのと、夜中には少し強い風だけが吹いていて
雨の叩きつける音はなかったのもあって夜中3時くらいから6時くらいまではぐっすり眠れました。
もともと出発は6時半頃にしようと思っていたので、起きた後借りていた毛布を返し
玄関に出ます。
玄関にはボランティアの方がいたので、〇〇町に帰ります、ありがとうございました。
と伝えました。
するとすごくびっくりした顔をしてこう言います。
「その辺一帯はおそらく湖のようになってるので帰れませんよ!!危険です!!」
え?湖?
その方の表情で大げさではないと思ってはいたものの、帰る事に。
理由はもし帰れなかったらまたここに戻ろうと思っていたのと、避難前の増水した河川と同様
どうしても自分の目で確かめたかったからです。
外は昨日の雨と暗い空が嘘のような晴天。
清々しい気持ちはそこになく、その湖のような光景がどうなのか、怖い物見たさのような気持ちでした。
避難所から家までは約15分弱。
どうなっているだろうと話しながら帰ります。
そして坂を下って家も見える見晴らしの良い所まで車を走らせると、水は一切ありませんでした。
夜中のうちに水が引いたんだ・・・!よかった・・・。
と思って家のある区画に差し掛かろうとすると、何か様子がおかしいです。
隣近所の家が急いで家の物を全て出しています。
え?と思って区画に入り家の前まで来ると、向かいの家やその隣、見える範囲の家で
全て同じ事をやっています。
あ、これは・・・と思って車を停めて家に入ります。
家は先述の通り1階が店舗、2階が住居。
なので店舗の裏口から入りました。
中は暗く、停電しています。
椅子は倒れ、床には水が引いた後でも残っている泥水の水溜まり。
一番大きな冷蔵庫はおそらく水が引いた時に足元をすくわれたような感じで倒れています。
津波のニュースで引き潮の威力が相当な物という意味がこれでわかりました。
当然冷蔵庫の中の食材が泥水と停電でぐちゃぐちゃ。
常温で置いてあった食材も家の至る所に流されています。
テーブルは倒れていなかったものの、色んな所に移動しています。
いちばんびっくりしたのは店舗裏の事務所に床下収納があり
重たい机の脚が蓋に乗っかっていたですが、それが浮いて床下に水が溜まっていたこと。
これを見て、水の力がどれだけのものか察しました。
まだまだ目に映る光景はどれも経験した事の無い惨状でしたがこのくらいしか覚えていません。
家に帰る前の光景同様、現状把握した瞬間から私も必死になってお店の物を外に出しました。
そして、泥水を必死に外に出しました。
なんか、覚えてないんですよね、その時の行動を。
ただ、夜の21時くらいでしょうか、とりあえず片付いたか、と思っ
たのは。
その時に思い出したのがとにかく前の状態に戻したい、
という気持ちだけが身体を動かしていたのだと思います。
その日はどっと疲れました。涙も溢れました。
しかし、次の日からも現実と向き合わなければなりません。
1歩でも前に進まなければ何も始まりません。
②はこの辺にしておきます。
また時間を見つけて③を記したいと思います。
それではまた、たかひろでした。